北陸新幹線について
北陸新幹線とは
北陸新幹線は,首都圏と北陸,近畿圏を結ぶ新たな国土軸を形成するものであり,移動時間の短縮により,社会活動や経済活動を活性化させることで,東京一極集中の是正,国土の均衡ある発展に寄与する極めて重要な国家プロジェクトであります。
北陸新幹線は,「全国新幹線鉄道整備法」に基づく昭和48年の「整備計画」により整備が行われている「整備新幹線」の一つで,これまでに東京-金沢間が開業しています。
北陸新幹線が,千年を超えて日本の文化の中心であり,今も世界の人々を魅了し続けている京都を通ることは,日本の未来にとって必要です。
そのため,京都市では,京都府や経済界など「オール京都」で,北陸新幹線の大阪までの一日も早い整備等の実現に向け,各種取組を推進しています。
- ○ 事業区間
-
東京都-大阪市 約700km
(※東京都-高崎間は,上越新幹線を共用)
高崎-長野間 平成9年10月開業
長野-金沢間 平成27年3月開業 - ○ 整備計画
-
昭和48年11月13日決定
最高設計速度:260km/時
主要な経過地:長野市附近,富山市附近,小浜市附近
金沢以西の整備について
金沢以西については,金沢から敦賀を通って,大阪までつながる予定で,金沢-敦賀間は,平成34年度末に開業予定です。
敦賀以西(敦賀-大阪間)については,「小浜京都ルート(敦賀駅-小浜市(東小浜)附近-京都駅-京田辺市(松井山手)附近-新大阪駅を結ぶルート)」により整備が進められることになりました。
< ルート決定に至る経過 >
(1)
敦賀-大阪間については,与党の国会議員で構成する「与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(以下「PT」という。)」の下部組織である「北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会(以下「委員会」という。)」において,平成27年8月から検討が開始されました。
(2)
平成28年4月,沿線自治体の知事・市長やJR西日本,有識者からの意見聴取を踏まえ,委員会において「中間とりまとめ」がなされました。いずれも京都駅を経由する3ルート(①小浜舞鶴京都ルート,②小浜京都ルート,③米原ルート)が候補ルートとされました。
【中間とりまとめの概要】 委員会としての候補ルートは, とし,国土交通省に調査を求め,その結果を踏まえつつ,最終的なルートを決定すべき。 京都-新大阪間については,関西文化学術研究都市附近経由についても,調査するよう求める。 |
![]() |
(3)
平成28年11月,国土交通省による3ルートに関する調査結果が公表されました。
【調査結果の概要】
〈 〉内は,関西文化学術研究都市経由
小浜舞鶴京都ルート | 小浜京都ルート | 米原ルート(※) | |
---|---|---|---|
建設延長 | 約190km 〈約200km〉 |
約140km 〈約150km〉 |
約50km |
概算建設費 | 約2兆5,000億円 〈約2兆6,700億円〉 |
約2兆700億円 〈約2兆2,900億円〉 |
約5,900億円 |
想定工期 | 15年 | 15年 | 10年 |
所要時間 (敦賀・新大阪間) |
約1時間 〈約1時間3分〉 |
約43分 〈約46分〉 |
約1時間7分 |
運賃・料金 (敦賀・新大阪間) |
6,460円 〈6,780円〉 |
5,380円 〈5,700円〉 |
6,560円 |
費用対便益 (B/C) |
0.7 〈0.6〉 |
1.1 〈0.9〉 |
2.2 |
※「米原ルート」は米原駅で東海道新幹線に乗換え
※ 平成43年着工を想定
(4)
平成28年12月,国土交通省の調査結果に対する沿線自治体の知事やJR西日本,有識者からの意見聴取を踏まえ,委員会において,「小浜京都ルートが適切」とする,「中間報告」がなされました。
【中間報告の概要】
- 敦賀-大阪間は,北陸と関西の間の移動の速達性,利用者の利便性等を総合的に勘案し,敦賀駅-小浜市(東小浜)附近-京都駅-新大阪駅を結ぶ「小浜京都ルート」が適切。
- 京都-新大阪間は,国土交通省の追加調査(南回り)の結果及び委員会における議論を踏まえ,年度内(平成28年度内)に結論を得る。
- 早期の全線開通が必要であり,駅・ルート公表に向けた詳細調査(1年~2年),環境影響評価(4年程度)の間,与党において,整備財源の確保のための検討を行う。
- 幹線鉄道のネットワーク(関西国際空港へのアクセスを含む四国新幹線,舞鶴を経て日本海に至る山陰新幹線等の基本計画路線の整備計画化等)の将来の実現に向けて,来年度から研究,調査予算を大幅増額するなど,国土交通省に真剣な検討を求める。
(5)
平成28年12月,PTにおいて,「中間報告」の内容がそのまま踏襲された形で,敦賀-大阪間は「小浜京都ルート」に正式に決定されました。京都-新大阪間については,国土交通省の追加調査結果を踏まえ,平成28年度中にルートが決定されることになりました。
(6)
平成29年3月,国土交通省による京都・新大阪間のルートに係る追加調査結果が公表されました。
【調査結果の概要】
北回り <H28.11.11公表> |
南回り(京田辺ルート) <松井山手駅附近経由> |
(参考) 南回り(京田辺ルート) (新田辺駅・京田辺駅附近経由) |
|
---|---|---|---|
建設延長 | 約140km | 約143km | 約146km |
概算建設費 (H28.4価格) |
約2兆700億円 | 約2兆1,000億円 | 約2兆2,600億円 |
想定工期 | 15年 | 15年 | 15年 |
所要時間 (敦賀・新大阪間) |
約43分 | 約44分 | 約44分 |
運賃・料金 (敦賀・新大阪間) |
5,380円 | 5,700円 | 5,700円 |
費用対便益 (B/C) |
1.08 | 1.05 | 0.97 |
※ 平成43年着工を想定
(7)
平成29年3月,国土交通省の調査結果に対する沿線自治体の知事やJR西日本からの意見聴取を踏まえ,委員会において,京都・新大阪間のルートは,「京田辺ルート(松井山手駅附近経由)」とすることが決定されました。
(8)
平成29年3月,PTにおいて,委員会での決定が踏襲された形で,北陸新幹線の京都・新大阪間のルートは,南回りルートが,既存の鉄道ネットワークとの接続,地域開発の潜在力等の観点で有望であると認められ,敦賀以西は,「敦賀駅-小浜市(東小浜)附近-京都駅-京田辺市(松井山手)附近-新大阪駅」を結ぶルートとすることが決定されました。
整備方式について
北陸新幹線をはじめとした整備新幹線は,(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構が鉄道施設を建設,保有し,営業主体であるJRに対して施設を貸し付ける「上下分離方式」により整備されています。JRは,受益の範囲内において同機構へ貸付料の支払いを行います。
上下分離方式
建設費の負担について
建設費については,JRからの貸付料収入を除いた額を国と都道府県が2:1で負担し,また,都道府県は利益を受ける限度で一部を市町村に負担させることができます。
地方負担分への財政措置としては,9割が起債対象となっており,このうちの50%~70%が交付税措置されます。仮に50%と仮定すると,1割の一般財源と合わせて,地方の実質負担は,地方負担分の55%となります。
(参考)全国新幹線鉄道整備法(抄)
第十三条 機構が行う新幹線鉄道の建設に関する工事に要する費用は,政令で定めるところにより,国及び当該新幹線鉄道の存する都道府県が負担する。
2 都道府県は,その区域内の市町村で当該新幹線鉄道の建設により利益を受けるものに対し,その利益を受ける限度において,当該都道府県が前項の規定により負担すべき負担金の一部を負担させることができる。
3 前項の規定により市町村が負担すべき金額は,当該市町村の意見を聴いた上,当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない。
並行在来線について
並行在来線とは,整備新幹線区間を並行する形で運行する在来線鉄道のことです。
整備新幹線に加えて並行在来線を経営することは営業主体であるJRにとって過重な負担となる場合があるため,並行在来線は,沿線全ての都道府県及び市町村から同意を得たうえで,整備新幹線の開業時にJRから経営分離されることとなります。
これまでに経営分離された路線の多くは,第三セクターに経営が移管され,地域の足としての機能を果たしています。
並行在来線の運営を行う鉄道事業者が安定的な経営が維持できるよう,国やJRもさまざまな支援を行っています。
京都市の取組について
本市では,これまで京都府や経済界など「オール京都」で,①大阪までの一日も早い整備,②京都駅に接続するルート,③関西国際空港への延伸の実現に向け,取り組んできました。
大阪までの一日も早い整備
北陸新幹線の延伸により,京都をはじめとする近畿全体が北陸と今よりも短時間で結ばれ,より一層人々の交流が活発になります。東京一極集中を是正し,北陸・近畿・日本全体の均衡ある発展を図るためにも,大阪までの一日も早い整備が必要です。
京都駅に接続するルート
北陸と京都は,文化,産業,宗教などで古くからつながりも深く,北陸の皆様からも,北陸新幹線は京都駅経由が望ましいとのお声をいただいています。
京都駅は,東海道本線,山陰本線,湖西線,近鉄,市営地下鉄などが結節しており,北陸新幹線が京都駅につながることで,京都府域だけでなく,近隣府県の広いエリアの発展に大きく貢献し,さらには全国の鉄道駅のすべてにアクセスできることになります。
北陸新幹線が京都駅に接続することで,文化やものづくり,観光等を基軸に,京都から近畿圏全体,ひいては日本全体を活性化する起爆剤になります。
北陸と京都をつなぐ「鯖街道」
「鯖街道」の歴史は,1300年前(奈良時代)からであるとされています。
京の都は海が遠いので,若狭の行商たちが,鯖を長持ちさせるために一汐(ひとしお)して,野や山を越え,一昼夜かけて都へ運んだことにより,
ちょうどよい塩加減になり,都で珍重されたといわれています。
「鯖街道」は,若狭の海と京の都を結び,海の幸だけではなく,北前船から陸揚げされた物資も盛んに運ばれました。
また,「鯖街道」は物資を運ぶだけにとどまらず,人々の往来と共に,様々な文化や習慣を伝え,人と人,縁を結んだ道でもあったのです。
関西国際空港への延伸
北陸新幹線を関西国際空港まで延伸すれば,国内唯一の完全24時間運用の国際空港と首都圏,北陸,京都がつながることとなり,それらが世界の都市とつながることになります。インバウンド(海外から日本への旅行者)の増加や国際的に活動する企業を呼び込むことにつながり,我が国の産業,学問,文化,観光の振興に寄与し,「文化芸術立国・日本」,「観光立国・日本」の実現に向けて大きな推進力となります。
平成29年3月,この間,ルートの検討を行ってきた「与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム」において,敦賀-大阪間は,「敦賀駅-小浜市(東小浜)附近-京都駅-京田辺市(松井山手)附近-新大阪駅」を結ぶルートに正式決定されました。
これを踏まえ,建設主体である(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構において,平成29年度当初より,駅・ルート公表に向けた詳細調査が1~2年かけて行われ,公表後は,環境影響評価の手続きが4年程度行われる予定となっています。
また,この間に,与党において,整備財源の確保のための検討が行われることになっています。
本市では,引き続き,①大阪までの一日も早い整備,②関西国際空港への延伸の実現に向け,京都府や経済界とも連携しつつ,取り組んでまいります。
よくある質問
- 敦賀以西のルートはもう決まったの?
- 平成29年3月,ルートの検討を行ってきた「与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム」において,敦賀-大阪間は,「敦賀駅-小浜市(東小浜)附近-京都駅-京田辺市(松井山手)附近-新大阪駅」を結ぶルートに正式決定されました。
- 完成はいつぐらいになるの?
- 国土交通省が平成28年11月に公表した敦賀-大阪間のルートに係る調査結果によると,工事着工が平成43年(2031年),完成が平成58年(2046年)の想定となっています。
つまり,完成は今から約30年後となります。そこで,本市では,大阪までの一日も早い整備を国に求めています。
- 地方負担はどのくらいかかるの?
- 北陸新幹線をはじめとした整備新幹線は,(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構が鉄道施設を建設,保有し,営業主体であるJRに対して施設を貸し付ける上下分離方式により運営されます。
建設費は,JRが機構に支払う貸付料を除いた額を国と都道府県が2:1で負担することになります。また,地方負担については,「全国新幹線鉄道整備法」の規定により,都道府県が負担することが原則ですが,利益を受ける限度で,その一部を市町村に負担させることができるとされています。
地方負担額については,具体的な事業費やJRからの貸付料など,不確定要素が多く,現時点においては,見通しが立てられない状況ですが,負担を軽減するよう,国に求めています。
- どの路線が並行在来線になるの?
- 整備新幹線に加えて並行在来線を経営することは営業主体であるJRにとって過重な負担となる場合があるため,並行在来線は,沿線全ての道府県及び市町村から同意を得たうえで,整備新幹線の開業時にJRから経営分離されることとなります。
現時点において,どの路線が並行在来線になるのかはわかりませんが,近畿全体の交通ネットワークを形成する幹線交通としての役割を考慮して,JR西日本からの経営分離がなされないよう,国に求めています。
- 地方負担や並行在来線の問題がはっきりしない中,誘致活動に取り組んでも大丈夫なのか不安・・・。
- 空港や港を持たない本市の広域交通インフラは,新幹線に大きく依存しています。現在の政令指定都市の位置は,新幹線のルートとほぼ一致していることからも,新幹線が,経済の発展や国民の利便性の向上に大きく寄与していくものと考えています。
また,京都駅の既存の鉄道ネットワーク(東海道本線,山陰本線,湖西線,近鉄,市営地下鉄などに接続)により,近隣府県の広いエリアの発展に貢献できる点や,文化やものづくり,観光等を基軸とした発展が見込める点等から,京都だけではなく,近畿,日本全体のためにも取り組む必要があると考えています。
今後は,整備に向けて,地方負担や並行在来線の問題,また,京都の都心部で想定される難工事への対応などについて,京都府等ともしっかりと連携しながら,国やJR西日本をはじめとする関係者との協議を進めてまいります。